1.誕生



あつやは、平成8年9月18日に誕生した。予定日より約40日早い早産だった。

妊娠初期の切迫早産を乗り越えて、職場復帰をしたのだったが、8月のお盆を過ぎたころから、お腹の張りがきつくて自宅安静でもおさまらず、8月末に入院。黄体ホルモン剤の注射と張り止め(ウテメリン・子宮筋弛緩剤)の点滴を24時間していた。

私は「せめてママの誕生日まで、お腹にいてね!10月11日だよ、11日!」とお願いしたのだが、どうやらあつやは1ヶ月勘違いしてしまったらしい。9月11日、破水してしまったのだ。でも、全部出てしまったわけではなく、少量ずつだったので、なんとか薬で陣痛を抑え、一日でもお腹にいれておいたほうがいいとのとこで、倍量のウテメリンと羊水感染防止の抗生剤の点滴、おしっこは管で、ベットから身動きできない状態にされてしまった。   

陣痛の間隔の長短、強弱はあったもののずっと続いていた為、睡眠もあまり取れずヘロヘロ状態。そして1週間が経とうとしたころ、熱発してしまった。 
しかし、その日は連休の初日。ドクターは病院には現れなかった・・・。
17日夕方、羊水感染の危険もあるということで、子宮口を縛っていたのを解くと、すぐかなり強い陣痛、お産突入!!熱と痛みで一晩中苦しんだ。

18日朝、あまりの痛さに吐き気も出てきて、いきみを逃がすのも限界に。11;30ごろ分娩室へ。一回いきんだが全然だめで、陣痛室にもどされて、そこでもいきみを逃がしてと言われる。どうやら別の人の帝王切開の手術の予定が入っていたらしい。痛みと寝不足と疲労で意識もうろうとしながらも、手術の音、赤ちゃんの産声が聞こえてきて「私ももうすぐ会えるんだ。頑張らないと。」と自分に言い聞かせていた。

さて、再度分娩台に上がり、いきんだ。分晩監視装置の赤ちゃんの心拍は、いきみ中は下がるが、いきみを止めると元に戻る。「大丈夫よ」と助産婦さんに言われた。でも最後の方は心拍が下がりきりに・・・。(そのうち装置は外されてしまった)赤ちゃんは小さい体でこんなことに耐えられるのだろうか?早く出してあげなくちゃ!というあせりでいっぱいだった。

最後は馬乗りになってお腹を押され、9月18日PM4:12、やっと生まれたのだった。2714g。2000gあるかないか?と言われていたので、みんなびっくり。          

私は産声を待った。

でも・・・・泣かない・・・。

部屋の隅でみんなで、ガチャガチャ処置する音、ペチペチ叩く音、、、。お願い、泣いて!そんな、まさか?もうすぐ泣くに決まってる。そう思ったが、まるでドラマのワンシーンのような状況に、私は怖くて頭を上げることが出来ず、ぎゅっと目をつぶっていた・・・。そのうち別の部屋に連れて行かれて、どのくらいの時間が経ったのか覚えていないが、先生が戻って来た。「赤ちゃんは大丈夫なんですか」と聞くと、「大丈夫だよ、ちゃんといきまないからだよ。」笑って言われた。

婦長がきて、「大丈夫よ!泣いたよ!」と!「あ〜〜〜、よかった。」涙がでた。。。あとから入ってきた両方の母と主人の顔を見て、また涙が出た。あとで聞いたのだが、生まれたと言われてから30分後に主人達が見た保育器に入ったあつやは全身どす黒かったそうだ。                                                    

先生に「これで赤ちゃんに熱が出なければいいんだけど・・・」と言われて、心配はあったものの、「きっと大丈夫」と信じていた。でも、実際この晩から熱が出ていたらしい。看護室のすぐそばの病室だったので、「糖水も吸わない」などの声が聞こえてきたので心配になり聞いてみると「週数が足りないからまだよく出来ないのかも?」と看護婦さんに説明された。

翌日9月19日、朝、トイレに立ったときに新生児室で、はじめてわが子を見た。待ちに待った赤ちゃんが目の前にいるではないか!感動ものだった。

赤ちゃんはとーってもかわいかった。他の人はどう思おうと(笑)やはり自分の子はとってもかわいい。。。(親ばか) 

しばらく窓にへばりついて見ていた。赤ちゃんは手足を必死にばたつかせていた。「元気がいいな」と思ったが、そのうちなんか不安になってきた。なんか苦しがってるみたいに見えてきたのだ・・・。

AM8時半ごろ婦長さんが部屋に来て「赤ちゃんに熱が出たので、ここだと処置が出来ないから、今から大きい病院に救急車で運びます」と言った。私は一気に不安が増した。婦長は「でも、元気に手足を動かしてるから大丈夫よ」と。不安で泣きそうになるのを必死でこらえながら主人と実家の母に電話をかけた。救急車が来て保育器のまま運ばれるわが子がドアの隙間から見えた。また、苦しそうにもがいているように見えた。                                            

赤ちゃん、がんばって!今までずっと一緒でずっとお腹にいた赤ちゃんが、救急車に乗って遠ざかって行ってしまった・・・。